柏原と日赤の統合を 神戸大が県に構想伝える

2008.07.21
丹波の地域医療特集

 県立柏原病院に医師を供給している神戸大学医学部が、 同病院 (146床) と柏原赤十字病院 (59床) を統合し、 「新柏原病院」 を作る構想を県に伝えていたことが、 18日までに分かった。 同大学が示した叩き台によると、 統合病院は入院病床を100―150床程度とし内科と周産期を担う病院とする。 経営主体や病院の位置は記載していないものの、 「ただちに統合」 を求めている。 (足立智和)
 大学の構想は、 県が設置した柏原病院再生対策本部 (本部長=黒田進県病院事業管理者) の会議の中で伝えられた。 大学は、 まず2病院を統合し、 次に兵庫医大篠山病院と新柏原病院の連携・統合を考え、 福知山市民や三田市民、 西脇市民病院など近隣の病院の役割分担を行うことを提案。 統合病院の診療内容は、 内科全般 (総合内科、 がん、 消化器内科) と、 産婦人科、 小児科としている。
 県立柏原は、 12人を数えていた内科医の退職が相次ぎ、 一時は3人まで減少。 現在は5人で、 外来は紹介のみ、 急性心筋こうそくなど、 循環器系の疾患の受け入れも難しくなっている。 診療の入り口で、 さらに他科のバックアップをする病院の背骨とも言える内科医の減少で、 内科だけでなく、 脳神経外科や整形外科の処置が必要な患者の受け入れも減少、 患者減の影響で両科の常勤医がそろってひきあげとなるなど、同病院の内科医不足が、 丹波の医療後退の要因となっている。
 一方の柏原赤十字病院も、 大阪大学が整形外科医を、 兵庫医大が産科医をひきあげるなどして、 整形外科、 外科、 小児科、 産科などで常勤医が不在となった。 常勤医は、 内科5人と歯科口腔外科1人のみとなっている。
 神大医学部の医師の人事をつかさどる杉村和朗・同大医学部附属病院長は、 「至近距離に2病院があり、 1方は内科のみ、 もう1方は内科医が不足し、 診療機能が低下している。 2病院が 『地域にいい医療を作る』 という観点に立ち、 医師という少ない医療資源を集め、 地域内での最適化がはかられなければ、 神戸大学から医師を送ることは難しい」 と述べた。 経営母体については、 「県でも赤十字でも、 やれる所がやればいいと考えている。 赤十字が経営をするなら、 赤十字に医師を出す」 と述べた。 この時期に構想を提案したことは、 「県立柏原は、 いつ何が起こってもおかしくない。 この先1年もつのか、 と強い危機感がある」 と答えた。
 さらに、 兵庫県と丹波市とが1億5000万円を出し、 今秋から実施が予定されている同大の医師5人を県立柏原病院に招へいする 「循環型人材育成プログラム」 についても、 柏原病院は特に内科医の派遣を強く求めているが、 同院長は、 「統合すれば、 内科は充実できる」 とし、 「地域で不足している診療科、 外科や整形外科を派遣することはできても、 内科を大学から送ることは現状では無理だ。 統合後に不足するなら考える」 と、 内科医のプログラム参加は困難との見方を示した。
 黒田病院事業管理者は、 「会議の中で委員から 『大学の考え』 という形で情報提供があったが、 正式な議題に取り上げていない。 県病院局としては、 県立病院のことしか関われない。 県立以外の病院をどうこうしろということは言えない」 と述べ、 この件について病院局として検討することは困難との考えを示した。
 同大は、 柏原赤十字に医師を派遣していないが、 県内の他の赤十字病院には医師を派遣している。

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