病院再編で論議も 医療フォーラム

2008.08.01
丹波の地域医療特集

  「地域医療再生への願いを込めて:守ろう命・伝えよう感謝」 と題した医療フォーラム (丹波県民局など主催) が26日、 丹波の森公苑で開かれ、 約250人が参加した。
 パネルディスカッションでは、 舞鶴市の4病院のあり方検討委員会の座長を務める後藤章暢兵庫医大先端医学研究所教授をコーディネーターに、 高岡道雄県健康局長、 酒井國安県立柏原病院長、 田中潔丹波市医師会長、 松本正義篠山市自治会会長会会長、 丹生裕子県立柏原病院の小児科を守る会代表の5人が登壇。 医療者側が患者の支えが心強いこと、 患者側が医療者を大切にしようと考えていることを発表した。
 また客席の玉田文彦柏原日赤病院長も発言を求められて登壇。 「内科医5人を確保し、 外科の患者は県立柏原病院と連携。 開発した内視鏡の成果などもあり、 最悪期より入院患者は増え、 収支はかなり改善している」 と話した。
 質疑では、 「丹波圏域でいくつの公的病院を運営するのが適当か」 との質問に、 後藤氏は 「人口から見れば1つが理想。 篠山市と丹波市に1つずつという場合は、 機能を分け合うのが妥当」 と話し、 「ただ、 舞鶴の場合を見ても、 経営主体が違う複数の病院の再編は非常に難しい問題を含んでいる」 と答えた。
  「素朴な疑問だが、 柏原病院は内科医が減り、 日赤病院は内科しかいない。 双方の医師がなぜ一緒に働けないのか」 と、 丹生さんらが問題を提起、 酒井病院長が 「医者レベルでは可能と思う」 と話したのに対し、 田中医師会長は 「以前は県立、 日赤両病院の統合を期待していたが、 今は難しいと思う」 と消極的。 高岡局長も 「設置者同士の話し合う場が出来ていないので難しい。 両病院が機能分担し連携する方向で当面、 様子を見ることが地域の合意だと考えている」 と述べた。

井戸知事あいさつ「知事ががんばれば解決する問題か」

 井戸敏三県知事が医療フォーラムであいさつに立った。 要旨は次のとおり。
 私は県立柏原病院の開設者で、 柏原赤十字病院を運営する日赤兵庫県支部長だが、 知事ががんばれば解決するのか。 もちろん責任はあるが、 なかなか難しい問題だ。
 柏原より条件は悪い所は全国にあるが、 情熱に燃えた医師と地域が協力し、 医療を確保している所がある。 我々も負けていられない。 医師が働きやすく、研究しやすく、治療に専念できる体制を作り、 医師の活躍に感謝する一方、 コンビニ受診を抑制するような住民の協力が必要。 医師も病院もがんばる。 地域も協力すべきところは協力し、 新しい医療確保のモデルに。
 篠山病院は、 市長と市民の情熱が兵庫医大を動かし、 存続が決まった。 県立柏原は再生本部を立ち上げ、 できれば他の県立病院からの応援体制のシステムが作れないか考えている。 県が医師を採用し、 各病院に行ってもらう医局の役割をするということも考えている。 神戸大学と人材確保事業も始めている。
 現実としてないものねだりをしても解決にならない。 医療圏を広げ、 産科、 小児科は三田などとの連携を次善の策として検討している。

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