噴飯の安全監視

2008.09.25
丹波春秋

 入学祝いの給食の赤飯にまで混じっていた。事故米を朝飯前よろしく食用に横流し、役所の検査にも「糊用」のラベルで糊塗。それが日常茶飯事になっていたとは、まさに噴飯ものだ。▼役所の反省も浮世離れしている。「これからは検査に行く日を事前に知らせず、抜き打ちですることにします」。これで対策が立てられたと、本当に思っているのか。▼随分昔、輸入米に「黄変米」というのが発生して大騒ぎしたことがあった。しかし「事故米」という呼び名には汚染の匂いは薄い。「事故で少々傷がついていますが、少々食べても大丈夫。じたばたしなくてよろしい」のタッチ。まるで事件を予想したかのような名前だ。そもそも、役所はインチキを見抜けなかったのではなく、見つけようとしなかった、見つけると具合が悪かったのではないか。▼「農政事務所」の前身は「食糧管理事務所」。昭和30年代の終わり頃まで、引越をするにも、旅行に出かけるにも「配給手帳」が要った。コメが足りない時代には、確かに機能していた。▼ところが情勢が変わり、職員を飯の食い上げにさせぬよう、農政事務所に衣替えして「安全監視」という役まわりにした。それがこのていたらく。政府が「消費者庁」を作ってもうまく機能するのか。暗示的に見える。 (E)

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