ブッシュとオバマ

2008.11.13
丹波春秋

 バラク・オバマ氏が自分の政策への想いを述べた著「合衆国再生」に、本論ではないが面白い箇所がある。4年前、上院議員に初当選の直後、ホワイトハウスの朝食会でブッシュ大統領と初対面した時のこと。▼ブッシュは遅れて入って来た彼を目ざとく見つけて声をかけ、「ローラ(夫人)、オバマを覚えているだろう。投票日の夜にテレビで会った。すばらしい家族だった」。そして「君の奥さん、実にすばらしいね」。▼この対立する党の新人をブッシュは部屋の隅に連れて行き、「君には非常に明るい未来がある。だが、これからは大変だぞ。たくさん注目を浴びるほど、君をやっつけようと狙い始める輩がいる。私の陣営の人間とは限らない。君の陣営にもきっといるから気をつけたまえ」。▼「ところで、私と君には共通点があるね」「何でしょう、それは?」「どちらもアラン・キーズ(注=共和党予備選に出た最保守の黒人候補)と討論するはめになった。厄介な男だろう」。2人は声を上げて笑い、オバマはいつの間にか、ブッシュの肩に腕を回していた。シークレットサービスが不安気に見守る中で。▼(腐っても?)世界超大国のトップに座る人物は、さすがである。余裕たっぷりだったブッシュは、たった4年後に後継として乗り込んできたオバマをどのように迎えたろうか。(E)

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