日本で起きている医療崩壊の現状を知り、 これからの篠山の地域医療を考える 「ささやま地域医療フォーラム―安心して住み続けられる地域医療を実現するために」 が9日、 篠山市民センターで開かれた。 医療崩壊問題に詳しい専門家の講演と、 医療、 行政関係者、 市民代表ら6人によるパネルディスカッションが行われ、 約180人の参加者に、 市民も医療を担う当事者という意識を持たなければならないと訴えた。 篠山市、 同市医師会が主催した。
全国各地の自治体病院再生に関わっている伊関友伸・城西大学経営学部准教授が基調講演。 医師の立ち去りにより閉鎖せざるを得なくなった自治体病院の具体例を挙げ、 共通の問題点として▽首長・議員の医療や病院経営への不理解や不勉強▽住民の無関心―などを指摘。 「民主主義がない地域で医療が壊れている。 無関心と人任せが医療崩壊を招く。 地域医療を守るためには、 何よりも医師が勤務しやすい環境をつくり、 住民は健康に気をつけてできるだけ病気にならないこと」 と述べた。
パネルディスカッションは、 市医師会長の山鳥嘉彦さん、 兵庫医大篠山病院長の福田能啓さん、 県立柏原病院小児科医長の和久祥三さん、 市自治会長会長の松本正義さん、 子育て世代市民代表の中村貴子さん、 市保健福祉部の前田公幸部長が登壇。
和久医師は、 丹波市内の母親らが立ち上げ、 全国的に注目されている 「県立柏原病院小児科を守る会」 の活動を中心に紹介。 「地域医療の主役は医療者と住民、 行政。 『私が地域医療を守る』 という認識が大事」 などと訴えた。
福田篠山病院長は、 篠山病院が今後めざす方向性を説明。 同医大関連病院から、 同医大附属篠山総合医療センターという位置づけに変更し、 専門的医療よりも総合的医療に重点をおいていく考えなどを述べた。
山鳥医師会長は 「篠山市の医師会の会員は約70人で、 コンパクトだががっちりとまとまっている。 市内4病院長は理事会で月1回は顔を合わせており、 基本的に連携はうまくいっていると思っている。 丹波地域にはいなくなった専門医がいる三田市や京都府など、 枠を超えた連携も重要だ」 などと話した。
また、 篠山病院存続の結論づけに舵取りをした新家荘平兵庫医大理事長も出席。 「21世紀はチーム医療の時代。 ドクターや医療スタッフだけでなく、 患者や住民もチームを構成するメンバー。 患者もドクターの身に立って考えてほしい。 医大では今、 新篠山病院の設計図作りに全力を上げている。 運営はいばらの道だと覚悟している。 市民も協力してほしい」 とあいさつした。