世界第6位の人口をこれ以上、増やしてはならない。そのために「出生抑制にいっそうの努力を注ぐべきだ」。人口白書が、予測されるわが国の人口増加をこう警告したのは1974年のこと。今から35年ほど前の見通しはもろくも崩れた。▼人口推計を誤ったのは国だけではない。篠山市もそうだ。合併時の新市建設計画にある「2008年の目標人口は6万人」。計画の策定時から実現が疑問視されていたが、現実のものとなった。▼目標の年にしていた今年、先ごろ発表された篠山再生計画で新たな目標が設定された。「2020年に4万2000人」。これは、75年の国勢調査の多紀郡人口(4万2026人)と並ぶ数字だ。篠山の人口は、過疎化が地方の課題だった時代に逆戻りしようとしている。▼目標6万人の根拠は、合併時までの人口の伸びに加えて、福知山線複線化の効果を見込んだものだった。阪神間から1時間圏内に入ったことで、人口の定着や流入が進むとみられた。▼篠山の今年3月の人口は4万6000人。再生計画の目標は今後の人口減少を見すえているが、20年の実際の人口は目標さえも下回ることが懸念される。再生計画が絵空事に終わらないためにも、複線化効果の検証や新たな人口増の施策が求められる。人口推計の見誤りはもう御免だ。 (Y)