明日は「成人の日」。新成人が生まれた20年前の丹波地域は、北摂・丹波の祭典で彩られた1年だった。篠山で開催された食と緑の博覧会は大成功をおさめ、丹波各地に祭典会場ともなる公共施設が建設された。祭典の開幕を前に舞鶴自動車道も開通。地域の今後に希望が持てた時代だった。▼社会もバブル景気で浮き立っていた。今になって思えば、祭典のにぎわいはバブルの写し絵だった。バブルが崩壊し、長いトンネルに入ると、地域も次第に元気を失った。20年前に抱いた希望は、いっときのバブル(泡)だった。▼バブル時代、地価が高騰した。土地が投機の対象となり、地上げ屋がばっこした。我々が拠って立つ大地が、金もうけの具と化した。人々の倫理観さえも狂わせた狂奔の時代に、新成人が生まれた。▼大人たちはよく「今どきの若者は」と嘆く。しかし、この嘆きは太古からのこと。3000年ほど前に書かれたバビロニアの粘土書版にも「今日の若者は根本から退廃している」と書かれているらしい。▼退廃をいうならば、バブルに浮かれて利に走った大人も同じこと。バブルという狂奔を知らずに育った若者たちの方が清廉かもしれない。20年前のように施設や交通網の整備に希望を寄せるのではなく、地域の今後への希望は、若者の力に託したい。 (Y)