「安心して産み、死ねる」

2009.02.20
丹波春秋

 最近めっきり、「死ぬ人が増える一方、産まれる数が減ったな」などと話題になる。小紙「よろこびの園」「悲しみの庭」欄では、甚だしい日は3倍以上の開きがある。▼1月掲載分は、「悲しみ」120人に対し「よろこび」73人だった。この傾向は3年前、6年前もさほど変わらない。9年前の2000年まで遡ると、ようやく100人前後同士。それでも「悲しみ」が若干多かった。▼つまり、丹波地域の人口はここ6、7年、年間5~600人ペースで自然減を続けていることになる。出産適齢人口自体の減少や晩婚化に加え、病院の産婦人科が危機に瀕している状況では、お産には大変な困難が伴う。▼先日、辻丹波市長と住民との対話集会で、ある女性が「『安心』『長寿日本一』を掲げる市長さんは、『安心して産めない、死ねない』という事態をどう考えているのですか」と詰問。筆者もはっとした。筆者の縁者も福知山の救急病院に搬送され、三田の民間病院で1年後に死亡。死ぬ時だって大変なのだ。無論、家族も。▼市も議会も住民の声に十二分に耳を傾け、「安心して産み、死ねる」よう最大限の努力をしてもらわないと、人口は減り続けるばかりだ。半年ぶりに開かれた対話集会も、市長が席にいたのは1時間半。他にも課題がいっぱいあって、発言したい人で時間の取り合いになった。(E)

関連記事