ベトナム2

2009.03.16
丹波春秋

 ベトナムの話をもう1回。ハノイ、ホーチミン(旧サイゴン)とも、バイクの数に驚いた。通りという通りをド、ド、ドーと、イナゴの大群が駆け抜け、埋もれた車が警笛を鳴らしっ放し。朝夕に限らず、昼間も全く途絶えない。▼2人乗り、子供をはさんだ3人乗りも。あちこちで「乗らないか」と声をかけられる。白タクならぬ白バイで、無論違法。横断は青信号でも決して安全でなく、「こわごわ」だといつまで経っても渡れない。「悠々と渡ると、よけてくれる」。▼メーカーは8、9割方ホンダ。1台8―10万円。20万円足らずの平均年収ではかなりの買い物だが、親兄弟に援助してもらうという。儒教が浸透し、家族の助け合いの気持がとても強い。観光ガイドのエンさんは「老後の一番の頼りは子供。3人以上産むと罰金をとられるが、それでももう1人作りたい」と話した。▼ホーチミン郊外の農村「クチ」で、南ベトナム解放戦線がジャングルに総延長200キロ、3層の地下道を張り巡らせて米軍へのゲリラ活動を続けた跡がある。中に医院、食堂、敵の武器弾薬から加工する兵器工房も。しかし後世、大勢の敵国人が観光に来るとは夢にも思わなかったろう。▼米軍を追い出せたのも、農民らの地域の結束が強かったからに違いない。この国の10―20年先は侮れない。 (E)

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