分相応の暮らし」

2009.03.05
丹波春秋

 サブプライム・ローンに懲りた米国人の間で、建坪わずか9平方?の超ミニ住宅が普及し始めたと、CNNテレビが報じていた。はしごでベッドに行かなければならないが、シャワーも浴びられる。▼「ローンから解放され、年150万円で生活できる」そうで、車輪付きの移動可能なものまで、様々な設計を手がける人まで。ウサギ小屋ならぬアリ小屋か。はたしてこれが主流になるか疑問ではあるが、一つの問題提起がなされたのは確かだ。▼要するに、「分相応の生活をしませんか。多く持たないほどより豊かなものを生み出せますよ」ということ。無理なローンで買ったしょうしゃな家を担保に、また借金して豪華な車を買う。「夢を実現しよう」という甘言に大勢が乗せられ、我勝ちに走った結果が、世界中への経済危機の波及だった。▼最もあおりを受けた日本は年率2ケタのマイナス成長にうろたえている。しかし、数字は数字。雇用の確保は無論大切だが、最も心すべきは、人々が幸せと感じられる生活の中味ではないか。▼未曾有の経済危機だからと言って、世界のどの国も地球の外に活路を求めることはできない。未曾有の気象変動という危機に対しても同様、地球を脱出する手段はない。ダブルの危機に直面する今こそ、「分相応の暮らし」を考える時なのでは。(E)

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