丹波市議会の救急医療に係る調査特別委員会 (岸田昇委員長) が9日、 同市役所で開かれ、 「冨原循環器科・内科」 (西脇市) の冨原均院長の講演を聞いた。 一般市民の傍聴もあった。 冨原院長は議員に対し、 「専門家ではない市会議員が計画を練っても、 総務省のガイドラインより劣る。 現場の医師、 病院ボランティア、 市民の声を聞いて」 と呼びかけた。
冨原院長は、 救急救命センターがある順天堂伊豆長岡病院で救急医療にたずさわり、 阪神淡路大震災の被災地でも医療活動を展開。 1996年の開業後は、 県内の小・中・高校で、 心肺蘇生法の普及などに尽力している。
冨原院長は講演で、 自身が救急救命にたずさわっていた時期に1週間に135時間勤務していた経験を紹介。 「今も多くの名もない医師が日本の医療を支えている。 今、 『たらい回し』 という言葉が使われるが、 正しくは 『受け入れ不能』 だ。 医師不足で、 救急を受け入れたくても受けられない医師、 運べない消防署員の気持ちをまず理解してほしい」 と訴えた。
また、 「柏原病院の小児科を守る会の活動は 『日本の宝』 と言われている。 丹波はこの宝を大切にし、 行政と市民の垣根を取り払ってほしい。 西脇では、 西脇の 『守る会』 を守ろうと、 市、 議会、 医師会、 病院、 市民が一枚岩になっている」 と話した。
さらに 「循環器科の医師が12人いて、 はじめて24時間対応が可能になる。 3―4人では治療はできるが、 救急は無理。 丹波地域で3次救急に対応できる体制ができる可能性はゼロだ。 ドクターカー、 ドクターヘリよりも、 心肺蘇生法を普及させたり、 少しでも早く専門医にたどりつける体制づくりに努力する方が現実的だ」 と強調した。