2008年度の柏原病院小児科の時間外受診者数は、 889人。 うち入院が225人で、 入院率は25・3%に達する。 全国の小児科勤務医からうらやましがられる高い数字だ。 厚生労働省の調査によると、 全国平均は6%。 病院がSOSを発する前の05年度は9%。 時間外に2076人が受診したが、 入院したのは昨年度より少ない164人だった。 親が開業医と病院のかかり方を意識したことで、 軽症が減り、 重症が増えた。 守る会のスローガン 「コンビニ受診を控えよう」 「かかりつけ医を持とう」 を親が実践したことで得られた成果だ。
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和久祥三小児科医長は、 勤務環境の変化を実感する。 午前3時、 4時に呼ばれることもあるが、 回数が減り、 夜中の呼び出しがまったくない夜もある。 昨年、 救急車で搬送された患者の丹波市内病院収容率は50%程度だが、 小児科は90%を超える。
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親の理解に加え、 軽症を受け入れる開業医の協力が病院を守っている。 昨年、 柏原病院の小児科医が増えるのに合わせ、 勤務医と開業医でつくる丹波小児科医会は、 話し合いを持った。 柏原病院の外来予約制を廃止するかどうか。 結論は、 病院は重症に特化し、 軽症はかかりつけ医で引き受ける、 だった。
小児科を標榜する開業医は市内に16。 その一つ、 足立クリニック (氷上町市辺) の足立省三院長は、 「フルオープンすると、 前と同じになり、 勤務医がつぶれる。 開業医が手に負えない時は病院、 という今のシステムがよい」 と話す。
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「地域医療を守るのは、 一人ひとりの心がけ」 のステッカーが平積みされている、 氷上町横田の看板製造業、 パンフレット広告社。 「追加注文の間隔が短くなっている。 200円の売値では赤字だろうけど」。 同社の正呂地隆浩さんは笑う。
丹波青年会議所は、 会員が勤務する事業所の営業車に、 市内保育園は、 通園バスに大型のステッカーをはっている。 「守る会」 と同じ図柄で、 「たんば医療支え隊」 「丹波市薬剤師会」 と、 自分たちの会の名前を入れるところも現れた。 ステッカーを車にはることで、 啓発に力を貸す市民が増えている。
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コモーレ、 ゆめタウン、 アルティの市内ショッピングセンターも応援。 コモーレは全店に、 「地域医療は―」 のスローガンを掲げる。 ゆめタウンを運営するタンバンベルグは、 例会に会場を提供。 アルティ内のサンウエキは、 新聞折込みチラシに医療集会などの案内を載せ、 守る会のメールマガジンに、 割引商品のクーポンを付けている。 同店の植木和也営業部長は言う。 「地元の人を応援したい。 喜んでもらえたらいいんですが」。