アフリカ4カ国の保健、 医療関係者が26日、 県立柏原病院の小児科を守る会と丹波医療再生ネットワークの視察に訪れた。 公衆衛生や人的ネットワークの構築方法を学ぼうというもので、 丹生裕子代表と里博文代表が会の取り組みを紹介、 視察団は活発に質問を投げかけていた。
フランス語を公用語としているブルキナファソ、 ニジェール、 ベニン、 セネガルの9人。 医師、 看護士、 保健センター長、 臨床検査技師など。 母国では、 大規模予防接種計画や、 地域マラリア対策調整官、 衛生・衛生設備などの業務に就いており、 JICAが派遣する青年海外協力隊員と協力し、 母国のへき地で任務にあたる。 JICAの業務を受託している国際看護交流協会 (本部・東京都) からの依頼で受け入れた。
里代表は、 電子カルテや音声入力装置など、 自身が経営する皮膚科医院の設備や代表的な疾患を紹介。 日本で病院勤務医が減った理由を説明し、 同ネットワークメンバーの構成や住民啓発、 医師への差し入れなどの取り組みを報告。 会が作成した啓発ビデオ 「今ここであなたが倒れたら」 を見せた。
丹生代表は、 「こどもを守ろうお医者さんを守ろう」 など、 守る会のスローガンや冊子やステッカーづくり、 講座の開催など、 具体的な取組みを紹介。 同会をモデルにした絵本 「くませんせいのSOS」 を紙芝居にし、 上演した。
再生ネットとの意見交換では、 日本では人口10万人あたりの医師数が200人であるのに対し、 セネガルでは1人、 ブルキナファソでは1人以下であることや、 90%の患者が伝統医療を経た後に西洋医療を求めること、 保険がなく全額自費診療のため、 「お金がない人は、 病院に連れてきても治療が受けられず、 神にゆだねるということになる」 などと、 現地のようすを話した。
また、 「守る会は、 我々の励ましともなるもの。 住民のメンタリティは違うと思うが、 地域や住民が医療に参加するのは良いこと」 (ニジェール・看護士)、 「医療機関にヒエラルキーがあり、 拠点病院と出先診療所の連携という考え方がなかった。 医療者どうし、 また、 医療者と非医療者のネットワーク構築に動きたい」 (セネガル・医師) と、 感想を語った。 里代表が、 「国は違えど、 目の前の患者さんを助けるよう、 がんばりましょう」 としめくくると、 温かい拍手が沸き起こった。