前進座女優 下岡悠日子さん

2009.06.18
たんばのひと

厳しい道を内面磨き
(しもおか・ゆひこ)東京都内在住

 1982年 (昭和57年) 丹波市春日町生まれ。 春日中卒業後、 フランスのトゥレーヌ甲南学園 (高校)へ。 3年後帰国して昭和音楽大学声楽科へ。 卒業後2005年前進座付属養成所入所、 06年研修生、 08年から研究生。

 前進座は 「遠山の金さん」 で有名な中村梅之助を座長とする劇団で、 2007年から2011年にかけて 「法然と親鸞」 の出し物を全国で披露している。 下岡さんはこの劇で、 法然の家に仕える臣下の妻などを演じながら法然役、 中村座長の付け人を兼務。 「厳しくしてもらうほど勉強になる」 と言いながら、 師匠の感性の吸収に余念がない。
  「舞台の上でライトに照らされると、 すごく気持ちがいい」 と思えるようになるまでには、 かなりの紆余曲折が。 少女時代は自信がなく、 音楽大学に進んでも 「自分を変えたい」 と必死だった。
 昨年、 ミュージカル 「サチとキチと青いサンタと」 で主役に抜擢され、 演出家から 「下岡の笑顔は人を元気にする力がある」 との言葉をもらい、 自分が変わっていくのを感じた。 内面を磨くこと、 易しい道より厳しい道を選ぶことを自分に課している。 「観た人が、 生きているっていいなと思って下さるような舞台が作れたらうれしい」。
 この道に入る時は、 迷うことなく 「和もの」 中心の劇団を選んだ。 父親の赴任先、 フランスで日本人学校に入った際、 近所のフランス人から質問された日本のことについて、 何も答えられないのがショックで、 「外国のオペラよりまず日本のものを」 と思ったからだ。 「自分が決めたことだから、 後戻りはできない。 舞台では自分をすべてさらけ出さざるを得ない。 逃げずに自分と戦うしかないのです」。
 大勢の丹波の友人が心の支え。 「丹波のひとたちとは何をしゃべってもいいという安心感がありますね」 とにっこり。
 5月に東京の国立劇場で演じた歌舞伎 「左の腕」 は、 NHKで放映予定。 7―8月には 「五重塔」 で中国地方を巡演する。   (上 高子)

 

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