丹波竜のコーナーもある幕張メッセの「恐竜―砂漠の奇跡」展(本日号参照)。中国のウイグルで発見された、丹波竜の2倍、全長35メートルのマメンキサウルスの実物大骨格模型に圧倒された。米国ノースダコタの植物食恐竜ハドロサウルス類のミイラ化石は、体表の鱗が鮮明に残っており、実にリアル。▼地球上のあちこちに出来た砂漠は草木が少なく、「バッドランド(悪い土地)」という地名さえあるが、恐竜化石の発掘にとってはベスト(最良の)ランド。随所に「史上初の大物恐竜」が詰まっており、何の障害もなく掘り起こせる。▼しかし1億年以上前には、あれだけ図体の大きい恐竜たちを数たくさん、現在とはけた違いの長い年月に渡って養っていた。水も緑も想像を絶するほど豊かな地だったはずだ。▼砂漠化は現在も進行している。その要因には、干ばつなど自然的なものもあるが、過放牧や森林伐採、ダムや運河の建設など人間の活動によるものの方が大きい。そうしたことに警告を発するのも、この展示のねらいという。▼色々な意味で恐竜の足元にも及ばぬ人間。もし上回れるところがあるとすれば、地球温暖化、気候変動の迫る今こそ、彼らの足取りをたどり、謙虚に学ぶことによって、生き延びていくための糧とする―そのような知恵でしかあるまい。 (E)