衆院選公示

2009.08.20
丹波春秋

 いよいよ衆院選公示。「政権交代の是非を問う選挙」と言う割には、今ひとつ締まりなく感じるのは、筆者だけだろうか。▼まず、両党首の危うさ。「与党の実績」を強調する麻生さんは、結果がどうあれ、選挙後も引き続き首相の座に留まることはあるまい。しかし「本命」と言われる鳩山さんも、そうなったら、くすぶっている偽装献金疑惑の煙が、たちまち吹き上がるだろう。▼次に、なりふり構わずとさえ思われるばらまき満載の両党のマニフェスト。消費税導入の時期、CO2削減の目標値、あるいは年金や子育て支援の方法論などで違いがあるものの、全体としてさほどの差は感じられない。不況への当座の対策に追われ、「一体日本をどういう国にしていくのか」という大筋の所が、まるで伝わって来ないのだ。▼ならば、「どちらが口先でなく、誠実に実行に移してくれるか」がクローズアップされてくるが、党首は先述の通り。となると、結局は目前の候補者個人の人格識見、力量を見極めるしか致し方ないのか。その辺の判断は実に難しい。▼とまれ、斜に構えていても始まらない。2大政党制がようやく機能を発揮し始めたと言っても、政党の実体がまだまだ未熟。それは即ち、有権者が成熟していないからだ。今こそ情実、情緒にとらわれず、冷静に臨みたい。(E)

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