今日の勝者は明日の敗者

2009.09.03
丹波春秋

 かつて、「どういうわけかキリンです」というCMがあった。圧倒的なシェアを誇っていたキリンだったが、やがて「コクがあってキレもある」アサヒ・スーパードライに首位の座を奪われた。そのアサヒの天下も、いずれどうなるか。▼世の中は有為転変。産業界に限らず教育でも医療でも皆、厳しいユーザーを相手に生き残るための懸命な努力をしている。しかし政界は別。50年このかた、ずっと「どういうわけか自民党」が続いて、与党はその上にあぐらをかき、野党は打破する意欲を欠いていた。▼その体制が今、ようやく崩れ始めた。立役者は「小選挙区制」。導入から13年、自分の1票がこれほどにものを言うことに、国民は改めて気付いた。▼そして政治家は身にしみて知ったことだろう。百年に1度の世界不況。限界点目前の地球温暖化。そして急速に進む高齢化社会。激しい時代の変化に神経を研ぎすまし、絶えず緊張感を持って臨まなければ、たちまち国民からしっぺ返しをくらうということを。▼新政権に座る民主党に、期待はかかるが、実力は未知数。「コクもキレも」と望みはせぬまでも、「右がいて左もいる」は不味い。小沢党は金権体質をひきずってはいないのか。再度言う。今日の勝者は明日の敗者にも。「どういうわけか」は、もう通用しない。 (E)

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