永遠の感謝

2009.10.19
丹波春秋

 篠山に関連のある本を集めた企画展「篠山本展覧会」を開催中の篠山市立中央図書館を訪ねた。ずらりと並んだ本の中に、目にとまる一冊があった。『かぼちゃ和尚の只管打坐(しかんたざ)』。著者は吉田興山氏。「ああそうだ、この人も篠山にゆかりがあった」と思い出した。▼本を手に取って繰り、著者略歴を見た。「沢木興道老師に就いて出家得度す」とある。興道師も丹波にゆかりのある傑僧。著者略歴で、両氏の関係を初めて知った。興山氏が長崎の生まれであることも初めて知った。▼興山氏にお出会いしたことはなく、『篠山のお寺の住職だった』ぐらいしか知らない私だが、興山氏に救われた思い出は今も鮮明だ。20数年前のこと。あるところで、興山氏の書かれた軸を見て、軸の言葉が心にしみたのだ。▼その言葉とは「暑ければ感謝し寒ければ感謝し/人来れば感謝し来らざれば感謝し/金あれば感謝し金なければ感謝し/賞めらるれば感謝し罵られれば感謝し/病めば感謝し息が切れれば感謝し/ああ永遠の感謝/南無阿弥陀仏」。この言葉に出会ったときは失意にあったため、ひとしお胸を打ち、勇気づけられた。▼たまたま出会った言葉に人は慰められ、奮い立つこともある。興山氏について何一つ知らない私だが、先の言葉は今も胸の奥底にある。(Y)

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