国土緑化推進機構参与 佐古田睦美さん

2009.11.30
たんばのひと

森手入れへ国民運動
(さこだ むつみ)東京都在住

  「緑の募金」 や 「美しい森林づくり」 推進の国民運動をする林野庁の関連団体で、 企画の仕事に当たっている。
 温暖化防止へCO2の削減が緊要の課題となっているが、 森林の役割は非常に大きい。 「野放しに近い状態の森林を手入れすることにより、 相当量のCO2が吸収できるのです」。
 しかし、 林業者は小規模で高齢化が進み、 コストのかかる間伐作業はなかなか進んでいないのが実態。 そこで注目したのが市民参加のNPO。 下刈や枝打ち、 間伐などの作業とともに、 間伐材の利用にも市民の知恵を生かそうというもの。 「国土緑化運動というよりも、 森林手入れ運動と言った方がいいかもしれません」。 このために優れたリーダーのいるNPOの育成に力を注いでおり、 丹波にも期待が大きいという。
 戦後、 はげ山となった国土を緑化する植林活動は一定の成果をおさめたものの、 杉のような針葉樹だけを大規模に植林したことは、 山地災害の防止機能を低下し、 スギ花粉のアレルギーを起こすなどの問題も起きた。
  「決して杉そのものが悪いわけではありません。 当時求められたのが成長の速い杉でした。 ところが経済発展の時代に安価な外材に頼ったので、 手入れがきちんとされなくなり、 悪条件を加速した」。
 生まれ育った篠山市丸山集落は空き家が増え、 田畑の維持管理も大変。 「実家の兄が農家民宿をしています。 すばらしい自然を残していて、 村の人たちががんばっておられることに対しては、 頭が下がる思いです」。
 大学を8年かかって卒業したが、 その間に結婚。 「おまえは丹波の牛や。 歩みはのろいが着実にまっすぐ進む」 という、 恩師、 青野先生の言葉を折に触れて思い返す。 (上 高子)

 1952年 (昭和27年) 篠山市生まれ。 篠山鳳鳴高、 東京大農学部林産学科卒。 80年、 林野庁入庁。 本庁のほか名古屋、 宮崎、 マレーシア (JICA専門家派遣) などにも勤務。 近畿中国森林管理局計画部長を経て今年9月より現職。

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