最近読んだ本にセイタカアワダチソウのことが書かれていた。河原や空き地などに群生し、日本の秋の風景を黄色に変えている北アメリカ原産の帰化植物だ。根が地中を縦横に走り、そこから他の植物が育つのに害になる物質を分泌しながら、自分の勢力範囲を拡大していくのだという。▼では、やがて日本の秋はセイタカアワダチソウで埋め尽くされるのかというと、そうではなさそうだ。というのも、繁殖すると、自分の出す分泌物で自家中毒を起こして自滅してしまう。一つの所に長く定着できない植物だからだ。▼そういえば、以前はやたらと目についたが、今年は影を潜めたような気がする。先の説の通りだとすれば、セイタカアワダチソウの繁栄は長続きしなさそうだ。▼篠山市の篠山層群で、国内初の角竜類の化石が発見された。はるか昔、地球上で繁栄した恐竜も今は化石となって地中に眠っている。恐竜といいセイタカアワダチソウといい、盛者必衰を思わせる。▼盛者必衰を説いた平家物語に、「おごれる人もひさしからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者もついにはほろびぬ、ひとえに風の前のちりに同じ」とある。繁栄を誇っても、必ず衰える時が来る。次に衰えるものは誰なのか。おごり、たけだけしい者。それはもしかすると、私たち人間か。 (Y)