「長い文章は、読者に読まれない」。多くの著作がある精神科医の香山リカさんは、女性雑誌の編集者からこう諭されたという。では、適当な長さの文章とは具体的に何字か。その編集者が言うには200字程度。▼「ライターに原稿を依頼するとき、昔は800字を目安にしていたが、今は200字。人がひと息で読めるのは、800字から200字に変わったから」と、その編集者。200字以上の長文になると、読者から『読みにくい』『何を言ってるのか、わからない』などのクレームが寄せられるという(香山リカ『なぜ日本人は劣化したか』)。▼起承転結のあるような文章は好まれない。小難しい理屈も敬遠される。知りたいのは結論であって、その結論が導き出されるまでの筋道には興味がない。だから、200字が適当というわけだ。これは雑誌に限った話ではなかろう。▼新聞離れが進んでいる。その理由の一つは、新聞の長い記事が敬遠されているためではないか。新聞が持ち味とする解説や分析は、短い文を好む読者に支持されているのだろうか。▼きょう8日までNIE週間。学校などで新聞を教材として活用するのがNIEだが、新聞を購読する、しないは別にして、長い文章を苦にしない読解力や忍耐力の教育は今の大人にも必要なようだ。 (Y)