NHKの連続ドラマ「坂の上の雲」が好調だ。6日放送の2回目。秋山兄弟の弟、真之(本木雅弘)は大学予備門での勉学に迷いを持ち海軍兵学校に転進するが、正岡子規(香川照之)は天真らんまんに交遊を深め、青春をおう歌中。だが大臣、博士の道は捨て、文芸や野球に興じている。▼日清戦争の前、明治20年頃の時期は、若者たちの目が本当に輝いていた。日本自身が、まさに青春期にさしかかっていたのだろう。▼それにしても、子規は本当にスケールの大きい人物だったと、改めて思う。30代半ばまでの生涯に、激痛をこらえての病床にあって、あれだけの仕事を成し遂げただけのことはある。▼司馬遼太郎の原作ではさらりと触れられているだけだが、ドラマでは子規の妹、律(菅野美穂)と秋山真之のほのかな恋が、かなり色濃く登場する。菅野は初めて見る女優だが、なかなか健気で良い。▼律は後に、母の八重と共に東京に出て子規を献身的に看取る。子規は彼女をよくからかったり、悪態をついていたらしいが、「恋かあらぬ妹かあらぬ春深み」「夏やせを肌みせぬ妹の思ひかな」といった句を多く遺している。やはり彼女あってこそ、子規の偉業があったのだろうと、つくづく納得する。香川がこれからどのように演じていくか、楽しみである。(E)