時間

2009.12.21
丹波春秋

 「留守と言え ここには誰も居らぬと言え 5億年経ったら帰って来る」。これは詩人、高橋新吉の詩。何とも爽快な詩だ。5億年という気の遠くなるような時間を、何事もなく行き来するというスケールの大きさ。私たちが持っている時間の観念をこっぱみじんに砕いている。▼時間の観念を超えるといえば、こんな笑い話がある。ある男が神様に「神様にとって、人間世界の1万年はどれぐらいの時間ですか」と質問した。「1分ぐらいだ」と神様。さらに男は聞いた。「1億円というお金は、どれぐらいの値打ちですか」。▼「そうだな、1円ぐらいのものかな」という神様の返事に、男は「たったの1円を私に恵んでください」とお願いした。それに対して神様は「ああ、いいよ」と快諾。「でも、1分間だけ待ちなさい」―。神様の世界における時間は、人間世界のそれとはスケールがまったく違う。▼ここ丹波でも、時間を超える発見が相次いでいる。恐竜をはじめ、ほ乳類、カエル類などの化石が見つかり、1億年前の世界が今によみがえっている。今後も発見が続くのは確実だ。▼1億年前という、途方もないはるか昔が、私たちの生きている「今」と融合している。この事実に、単純に驚く。もしかしたら、丹波には神様が住んでいるのかもしれない。      (Y)

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