阪神大震災のドキュメンタリードラマ「神戸新聞の7日間」(関西テレビ)には、大感動した。コンピューターが動かず、紙面組みが不可能。そればかりか、壊れた社屋から避難しなければならない、という状況下。「わしらがあきらめてどうするんや」という編集局長の号令のもと、社員が一丸となって、新聞作りにまさに命をかける。▼焼け跡で火箸とバケツを手に「お母ちゃんを探してる」少年が、骨を集めていると聞かされた写真記者は、「すんません、すんません」と泣いて謝りながらレンズを向ける。しかし、若い記者たちは、人々が苦しみ悲しむ現場に、職業的に向かい合うことが出来ない。「今、記録しておくことが大事なんや」と先輩は言うが、それにしても激しい葛藤。▼そんな中で、「被災者になって分かったこと」という、生き埋めの父を亡くした論説委員長の社説をきっかけに「生きる」という連載が始まり、希望を与える記事、生活に役立つきめ細かな情報が紙面を埋めていく。▼未曾有の非常事態になるほど、人々の活字媒体への需要は高まる。インターネットの時代になっても、それは変わらないだろう。神戸新聞は見事に役割を果たした。支えた京都新聞も見上げたものだった。▼我が社も、豆新聞とは言え、その時そう出来るか。自問しつつ見入った。(E)