「新年おめでとう。明日2月14日は旧暦の元日。日本でもかつてはアジア各国と同様に旧正月を祝っていましたが、『脱亜入欧』を急ぐ明治政府はいち早く太陽暦に切り替え、1月1日がお正月になったのです。でも初めのうちは、『毛唐の国みたい』という国民感情からなかなか普及しなかったとか」▼「ところで、『年のはじめの例(ためし)とて』という唱歌をご存知ですね。題名は『一月一日』。文部省が明治26年に発表し、『1月1日こそが正月ですよ』というメッセージを浸透させてゆきました。かくして日本は、アジアでは珍しく、旧正月を祝わなくなったのです」▼「余談ですが、この歌の作曲者、上真行(うえ・さねみち=宮内省雅楽部楽長、東京音楽学校教授)は、夫の祖父です」―以上は、日本語学生を支援するNPO「アジアの新しい風」の事務局長、上高子さん(丹波市出身)が13日、東京で開いた新春交流会でのあいさつ。▼中国、韓国、ベトナムなどではこの日前後からまとまった休みがあり、長期休暇で北京の実家に帰った筆者のメール交信学生も、手持ちのパソコンがないせいか、このところ全く便りを寄こしてこない。▼いま「アジア回帰」という時、多少とも、旧正月にも思いを馳せたいと、バレンタイン・デーの義理チョコをかじりながら思う。 (E)