朝青龍君、引退おめでとう。テレビや週刊誌がじゃんじゃん取り上げてくれて、君は空前の人気者。退職金やら引退相撲の祝儀ががっぽり入り、格闘技界からの招へい金もはね上がることだろう。▼「品格、品格」などと、胸を張って言える親方がいかほどいることか。理事選挙ひとつ処理するのも、あの騒動。タテマエとホンネがあんなに違う世界で、君が「品格」の意味を理解しかねたのは、よくわかるよ。▼「もっと記録に挑戦したかった」?しかしねえ、場所中に明け方まで飲んだくれていても優勝させてくれる連中を相手に、いくら優勝を重ねても大した価値はないよ。それに、稽古もろくにしない君の力士寿命は、どう見てもあとわずか。丁度引き時だったじゃないか。▼君は強過ぎた。思えば、それこそが君の悲劇の原因だったな。何の苦労もなく、とんとんとトップの座に。「大草原の少年」が、地位にふさわしい人格を身に付ける間もなく、天狗に成り上がってしまった。大半の責任は君自身にあるが、周りの指導者たちもつくづく情けない。▼君は本当に孤独だったろうな。1人の友だちもいまい。その淋しさを格闘技界で思う存分ぶちまければいい。君がさらなる成功を遂げ、踏み台にされた相撲界が、期待は薄いけれど今こそ発奮するならば、すべてハッピーだろうよ。(E)