NHKの特集番組「激動のマスメディア―テレビ・新聞の未来を徹底生討論」は、既存メディアの代表と、インターネットで情報を流す新興メディアの関係者らが、これからの情報伝達の変わりようについて意見を述べ合い、興味深かった。▼ネットで情報を得る人が急増し、若者を中心に新聞・テレビ離れが進んでいる。新聞の廃刊が続くアメリカでは、最大手のニューヨークタイムズが、イラクで戦死した兵士を一人ひとり、家族らの追悼の言葉付きで紹介するなどのきめ細かい電子情報サービスを始めたという。▼日本でも、動画配信を手がける会社が、大臣の会見を生中継で流し、即ユーザーの感想を飛び交わさせる時代。紙媒体の方でも対抗策をとらざるを得ず、日経は通常の記事に関連する様々な情報を立体的に流す有料の電子新聞を創刊し、注目を集めている。▼人が受け取る情報量には、物理的に限りがある。「生情報の真偽を見極め、整理・加工し、論評する」という新聞や放送の本来の機能は、ネット情報が氾濫するほど重要さを失わないはずだが、しかしながら漫然と処していては、いつ見放されるとも限らない。▼豆マスメディアの小紙と言えども同じ。歴史や信用に甘んじることなく、電子情報の動向をにらみつつ、常に機能の革新をめざしていきたい。(E)