「田ステ女俳句ラリー」

2010.05.13
丹波春秋

 「母の日」に柏原で行われた「田ステ女俳句ラリー」に、今年も秀句が寄せられた。ステ女賞の「綿かごに綿のあふるる夏座敷」は、丹波木綿作家、故・西垣和子さん邸で詠まれたもの。▼「『綿』を繰り返し使ってリズミカル。捨女の頃には丹波のどこにでも見られた情景だろう。柏原にふさわしい」と、選者の坪内稔典さん。宇多喜代子さんは「『夏座敷』がいかにも涼しげ。でも近頃の若い人には、このイメージがわからないかも」と嘆いた。▼筆者には「間違ったことしてません柿若葉」という受賞句が大変面白かった。木割大雄さん「これはやはり渋柿だろうな」。上司と衝突して一人ごちているのか、見えない母に向かって話しているのか。「柿若葉」との取り合わせが妙。▼ずっと選者をして下さり、2月に亡くなった山田弘子さんの遺筆が表彰式会場に展示された。「仮の世に舞ふて春雪うつくしき」。7年前に亡くなった木割さんのお母さんへの弔句だが、「まるで自分に向けたよう」(宇多さん)。木割さんは「命日も1日違い」と目を潤ませた。▼14回目の今年は、阪神はもとより四国や東京などからも応募があり、若い人も目についた。こんなに豪華な選者の先生がそろう吟行会の知名度が、全国に少しずつ浸透しつつあるのだろうか。地元の若者の参加をさらに期待したい。(E)

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