沖縄のスナックのママさんが、たまたま来店した本紙記者に「兵庫県なら氷上郡という所を知っている?」と尋ねたのがきっかけで、50年ぶりに中学時代の文通相手の女性が見つかったという話(16日・20日号丹波市版)に感動した。▼筆者にも50年前の思い出がある。1年ほど文通していた、米国ネブラスカ州のリンカーンという町に住む少年から写真を受け取り、自分も送ったのだが、彼からの音信はそれっきり途絶えてしまった。写真のせいだったかどうかは、わからないままに。▼四国行きの修学旅行の船中で知り合った米国人夫婦にHaveyoubeentoNebraska?(ネブラスカに行ったことがありますか)とたずねて「英語がうまいね」とほめられ、まただいぶ後のことだが、映画「クレイマー、クレイマー」に、本筋とは関係ないが、リンカーン大学のキャンパスがちらっと写ったりして、中北部にあるこの見知らぬ町が実に懐かしく感じられる。▼沖縄のママさんは相手の名前をちゃんと憶えていたが、筆者には何の手がかりもなく、いつかリンカーンを訪ねたとしても、消息をつかむのはまず不可能だろう。でも、地元の新聞社に飛び込んで事情を話してみるか。▼文通相手のことを当時は「ペンパル(ペン友達)」と呼んでいた。セピア色の思い出である。 (E)