「政」と「民」

2010.07.13
丹波春秋

 消費税が柱の一つとなった今回の参院選。増税に抵抗感を持つ人は多かろうが、政とは、そもそも徴税を管理することをいうらしい。漢字学研究の第一人者、白川静氏によると、「政」という漢字の成り立ちは「敵を力で倒し、鞭を使って徴税する」ことだという。▼政治と税金は切っても切り離せない関係にあることが「政」の字ひとつから読み取れる。では、徴税される我々庶民は、漢字からすると、どんな人か。「民」という字について白川氏はこう説明する。▼「『民』の古代文字『 』を見ると、目を刺している形をしている。瞳を突き刺して視力を失わせることをいう文字です。そのようにして視力を失った人を『民』といい、神への奉仕者とされた」(『白川静さんに学ぶ漢字は楽しい』)。民は、視力を失った人とは意外な感がするが、古代中国では神に仕える人に、瞳をわざと傷つけて視力を失った者がいたという。そこから来ているらしい。▼私たち「民」は視力を失った者というのが漢字の成り立ちだったとしても、それは目の働きを失ったということであり、物事を見抜き、政治や国の動きを見て取る眼力は有している。その能力は発揮しなければいけない。でなければ、主権在民の「民」が泣く。▼きょうは参院選の投開票日。民はどんな判断をくだすか。(Y)

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