ワールドカップ・サッカーの終盤戦を、旅行先の東中欧各地でテレビ観戦。決勝のスペイン―オランダ戦は、スイス・グリンデルバルトのホテルのバー。期間中レンタルしたというワイド画面に店外まで客が群がり、延長でスペインがゴールを決めると大歓声が上がった。▼大勢がスペインファンらしく、隣席で拍手していたドイツ人の初老の夫妻に「オランダはお隣りなのに?」と尋ねると、スペインは準決勝でドイツが善戦した相手だし、「それよりも、オランダの選手はアンフェア(ずるい)よ。イエローカードがいっぱいでしょ」。▼数日前のブダペストのホテルのロビーには、スーパー・スクリーンが掛かり、フランクフルト空港で乗り換え時間待ちしていた時、土産物店の店員の眼はレジ付近に置かれた画面に釘付け。仕事そっちのけの風だった。▼バスでハンガリーからオーストリアに入る国境は、乗客は完全フリー。パスポートを調べる建物は何もなく、国境らしい風景は、積み荷チェックを受けるトラックがたくさん止まっていることだけ。20年近く前、ウィーン空港から目と鼻の先のスロバキアのブラチスラバへ向かう時、係官がバスに乗り込んできて丹念に調べられたことを思い出した。▼EU(欧州連合)は問題を抱えながらも、着実に一つになりつつある。 (E)