ウィーンでのささやまシルバーエコーの交歓合唱会に出た後、スイスに行き、アルプスのユングフラウを観光した。麓のグリンデルバルトから登山電車で2時間足らず。牛の放牧場をのんびりと眺めながら、やがてアイガーの岩壁の中をくり貫いたトンネルを通ってユングフラウヨッホ駅に。▼標高4158メートルの同峰直下、3454メートルの同駅は「トップ・オブ・ヨーロッパ」と呼ばれる。「世界一高い郵便局」から絵葉書を投函し、氷の通路をくぐりぬけて雪原に出る。前方に4099メートルのメンヒ、後ろに切り立つのがユングフラウ。雲一つない快晴の空。▼下方の谷には1500メートルほどの氷河が見渡せるが、道路のように黒い線がずっと蛇行して続いている。「えっ、こんな所を車が?」と一瞬思ったが、そんなわけはなく、双眼鏡で見ると、地肌が出ているのがくっきり。▼解けた氷水の通路になっているらしく、帰路の電車から眺めると、末端部はえぐられて高さ10メートルほどの絶壁。滝のように水がほと走っていた。再三ここに来ている添乗員さんも「確かに、最近の氷河はやせてきているようですね」。▼駅に置いてあった「点と地の間」というタイトルの観光冊子がなかなか学術的で、同峰の観測所でもオゾンやCO2濃度が確実に上昇しているグラフが掲載されていた。 (E)