県立人と自然の博物館 (三田市) は5日、 丹波市山南町上滝の篠山層群下部層 (約1億1000万年前) から、 カエルの全身骨格化石が見つかったと発表した。 中生代前期白亜紀 (約1億4000万年―1億年前) のカエルで、 全身骨格が発見されたのは国内初。 世界的にも貴重な発見という。
化石は全長約3センチで、 アマガエルよりも少し大きい。 指の骨が欠けているほかは、 ほぼ完全な状態。 現代のカエルと比べ、 ろっ骨をもつなどの原始的な特徴がみられ、 ムカシガエル亜目に分類されるという。
同時代のカエル化石の全身骨格は、 世界で13例目。 カエル化石は、 石川県白山市、 岐阜県荘川町に次いで3例目で、 世界では24例目。
恐竜化石第2次発掘調査 (2007年11月―08年3月) で取り出した岩塊から、 同博物館のクリーニング技術員が見つけた。 小動物化石が密集した部分を丁寧にクリーニングしたところ、 今回の化石が姿を現した。
同博物館の池田忠広研究員は 「篠山層群ではこれまでたくさんのカエル化石が見つかっているが、 骨の一部で、 種類の特定が難しかった。 今回は世界中の化石と比較できる。 また、 恐竜が生きた時代の環境を復元する材料にもなる」 と話している。 10月に米国ペンシルバニア州で開かれる国際学会で発表する。
9月5日まで、 同博物館 (079・559・2001) で一般公開している。
(写真)全身骨格がほぼ完全な状態でみつかったカエル化石 (一目もりは1ミリ) =県立人と自然の博物館提供