兵庫県家畜商業協同組合の5代目理事長に就任した。 県内247人の組合員のトップとして畜産業界の舵を取る。 但馬牛として名高い、 県内の黒毛和牛ブランドの価値をさらに高めるため、 組合員の繁殖・肥育技術や団結力の向上に取り組んでいる。
「4月20日、 宮崎県で発症が確認された口蹄疫では、 業界に激震が走った。 これだけ流通が発達した現代。 『遠く宮崎の出来事』 とはとても思えなかった。 全組合員に対して早急に牛舎とその周辺の消毒および、 関係外の人や車両の立ち入り制限などを通達した。 8月27日で終息宣言は出されたが、 市場が再開され、 車の移動制限も解除された今こそが、 最も怖い。 この先1年間は油断することなく、 監視の目を光らせていきたい」
「地元の高校を卒業後、 サラリーマンとして大阪の製菓会社などで15年間働いたが、 どうしても牛飼いがしたくて、 退職する数年前から、 二足のわらじで畜産を始めた。 裸一貫、 ノウハウは皆無で、 市内の畜産農家をまわって技術を習得した。 1、 2頭からスタートし、 35年が経った今、 200頭にまで増えた」
「時代の情勢により畜産業界は厳しさを増しているが、 とにかく組合組織の存続が第一の責務だと考え、 何が起きても協同の原理で強いつながりを持ち、 乗り切れる組織でありたい。 また、 将来の畜産を支えてくれる後継者が、 仕事に魅力を感じ、 意欲が持て、 互いに切磋琢磨して上物率を競い合えるような活力のある業界づくりを目指していきたい」
県畜産共進会において、 2007年から3年連続で最高位の名誉賞を受賞。 91回を数える歴史ある同大会において、 史上初の快挙を成し遂げた。 69歳となった今でも、 毎朝5時には牧場に入り、 牛の世話に精を出している。 丹波田中畜産株式会社取締役会長。 篠山市味間奥。(太治庄三)