菅内閣

2010.11.24
丹波春秋

 菅内閣への支持率がどんどん下がっている。柳田法相の更迭も、いかにも遅かった。「国会では2つの答弁だけしておけば事足りる」という、例のジョーク発言は、この人の大臣職への履き違えを物語る。▼菅首相は初入閣の時、「『おめでとう』と言いに来た官僚に、そんな部下のいる世界がどこにあろうと不思議に思った」と書いた(岩波新書「大臣」)が、こんなめでたい人を任じていたとは。▼普段は脚光を浴びることの少ない法相だが、今時はその識見がすごく問われている。検察問題、小沢問題、尖閣問題。中国の漁船長が検察の外交判断で釈放され、誰もがあっと驚いた。それこそ「指揮権」が発動されてもしかるべき場面だったが、前法相にはそんな着想すら望むべくもなかったろう。▼民主党には、50年続いた自民党政権の宿弊を断ち切ってもらえるかと、多くの人が期待したが、現政権に漂うのは、人気取りと事なかれ。そして最もよくないのは、確たる国家像、国家戦略が微塵も示されていないことだ。▼「それでも、まだ政権を取ったばかり。もう少し我慢して見守りたい」との声も聞く。50年が1、2年で改められはしない。さはさりながら…、時間の空費も許されぬ。悩ましがるのは、筆者ばかりではあるまい。そんな思いを野党はどう受け止める?(E)

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