童謡「しゃぼん玉」の2番「しゃぼん玉消えた 飛ばずに消えた 生まれてすぐに こわれて消えた」は、野口雨情が生後8カ月で死んだ我が子を悲しんで作詞した。「十五夜お月さん」の「十五夜お月さん かかさんに も一度わたしはあいたいな」も、幼くして母と別れざるを得なかった別の息子の気持ちという。▼先日、丹波の森公苑ホールで、アンネット一恵さんが歌いながら話して下さった。「ふるさと日本をうたう」という日本の曲を集めたアルバムのレコーディングに当たって、雨情の孫、野口不二子さんを訪ねて聞いたという。▼アンネットさんの声は聴く者の心にじわっとしみ込んでくるように響く。ウィーンのオペラ座ではドイツ語で、朗々とした歌い手に混じっていた。故国の歌にはとりわけ言葉をいつくしみ、秘められた意味までも究めたいという思いがあるのだろう。▼共演した氷上中央コーラスの指揮者、佐野頼子さんが「中学生の頃の愛唱歌『白い花の咲く頃』が、彼女の著書『ウィーンわが夢の町』に出てくるのを読んで、一緒に歌いたくなった」と述べた。▼アンネットさんはその歌で小学6年の時、ラジオののど自慢に出てたくさん鐘をならし、1カ月分のコメが買えて家族を喜ばせたという。様々な思い出をかみしめた彼女のアルバムだ。(E)





















