看護人材掘り起こす 復職に研修機会提供

2012.06.07
丹波の地域医療特集

 丹波圏域の病院の看護部長、 訪問看護ステーションの管理者らでつくる丹波圏域看護業務連絡会 (会長=山口恵美・大塚病院看護部長) が、 社会問題化する看護師不足問題に取り組もうと、 「看護職のための再就職支援研修会」 を始めた。 官民の区別なく、 「丹波医療圏で働く看護師を増やす」 ことを目指している。

 結婚、 出産、 転居、 体調不良など、 資格を持ちながらも、 看護の現場から離れている人たちの復職を、 当番病院を決めてサポートする。  

 6月が県立柏原、 8月が岡本、 10月が大塚、 12月が柏原赤十字、 3月がささやま医療センター。 研修参加費は無料。 丹波、 篠山両市の看護情報を提供し、 研修機会を提供する。 採血、 点滴、 吸引、 経管栄養などを想定しているが、 病院側で研修計画を立てることはせず、 本人の希望に応じた個別対応の中身とする。 受け入れも希望者の都合のつく時間、 曜日とする。

 また、 各施設の紹介を記載したパネルを作成し、 PR活動も予定。 24日に篠山市民センターで開かれる 「医療フォーラム」 で初の活動を行う。

 山口会長は、 「准看学校に続いて、 県立柏原看護専門学校も閉まる。 養成機関も専門性を発揮できる病院も都市部に多く、 若い人はいなかに来てくれず、 人材確保が難しい。 一度は都市部に出た人のUターンや、 こちらに嫁いできて看護職に就いていない人、 子育てで休んでいたが手が離れた、 というような人を1人でも掘り起こしたい」 と話す。

 同会は9年前に発足。 看護の質の向上のための研修会などを開いていたが、 全国的な看護師の 「争奪戦」 があり、 丹波地域の各病院も人手不足にあえいでいる所に柏原看専の閉校も重なり、 同会でこの問題に取り組むことにした。

 個々の病院が努力しているものの、 ▽新卒の多くは都市部で就職する▽転職支援派遣会社に登録しているが、 就職に至る人が少ない▽就職しても短期間で辞める▽阪神間で開かれる就職合同説明会に参加しても素通りされる―などの共通した悩みを抱えており、 「丹波で働く看護師を増やさなければ地域医療の維持が困難」 と一致した。

 各医療機関が国に届け出る 「業務従事者届け」 によると、 2010年12月末時点の丹波医療圏の人口10万対看護師数 (保健師、 助産師、 看護師、 准看護師、 医療機関だけでなく、 福祉施設での勤務者も含む。 常勤換算) は、 1063人。 県平均の1023人を上回っている。 10万対看護師数が少ないのは、 阪神南圏域 (西宮市や芦屋市) の877人など、 県南部の人口集中地域。 多いのが、 淡路圏域の1220人や但馬の1123人。

 県医務課看護指導係では、 医療圏をあげた看護師確保の取り組みは、 珍しいと言い、 「人口や面積、 医療機関の数が違っており、 県平均を上回っているからと言って、 丹波の看護師数が多いとは一概に言えない。 都市部の不足感は離職率の高さ、 いなかでは、 そもそも人が来ないというあたりにあり、 不足という言葉の捉え方、 切実感も違うだろう」 と話している。

 研修の問い合わせは各病院の看護部長か、 事務局の丹波健康福祉事務所地域保健課 (0795・72・0500)。

 

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