48年ぶりにIMF(国際通貨基金)・世界銀行年次総会が開かれた東京で、各国代表らに日本の評判は悪くなかったと、朝日新聞の原編集委員が伝えている(10月28日号)。▼ボランティアの若者の親切な案内、時間の正確さ、美しい街並み、安全感。「経済成長では落ち目でも、私たちの暮らしに埋め込まれている技術や文化、社会システムには宝物がたくさんある」。▼大震災時の人々の冷静さ、連帯感も世界を驚かせたが、日本の美点は他にもいっぱいある。尊敬語、謙譲語という、類(たぐい)まれな言語構造に支えられた礼儀正しさも、そうだ。無論、衣食足りてこその礼節。最近の忌まわしい事件の頻発は、それが崩れる兆候かとも懸念されるのだが。▼先月訪れたブータンでは、幸福感や自分が使える時間のほか、健康、教育、文化、環境、コミュニティーなどについて聞き取る「国民総幸福量」調査を定期的に行い、国民の大半が「とても幸福」または「幸福」と答えているとか。「地球環境を破壊しながら成長して、豊かな社会と言えるのか」という問題意識からという。▼閉塞状態の日本経済だが、いたずらに水膨れを追い求めていると、いつかIMFの世話にならなければならない日が、絶対来ないとは断言できない。今や「低成長モデル」を構築すべき時では。(E)





















