東北支援のシンボルを通販会社が商品化 伊藤岱玲さんデザイン考案

2013.05.16
ニュース丹波篠山市

写真・伊藤さんと、 フェリシモが製作した日本手ぬぐい=兵庫県篠山市河原町で

 兵庫県篠山市殿町に工房 「高城窯」 を構える陶芸家、 伊藤岱玲 (たいれい) さん (43) =丹波市氷上町犬岡=が、東日本大震災の被災地支援のために製作した陶器のデザインを、 大手通販会社 「フェリシモ」 (神戸市) が日本手ぬぐいのデザインとして採用し、 同社発行のカタログで販売をスタートさせた。 方位磁石の絵柄をあしらったもので針は東北を指し、 伊藤さんが込めた思いは、 「生活の中で、 心の方位磁石を東北に向けて」。 手ぬぐいの購入金額の一部は、 同社の東北支援基金として使用される。

 手ぬぐいは綿100%で、 幅約34センチ、 長さ約88センチ。 伝統的な染織技法 「注染 (ちゅうせん)」 でつくられている。 被災地、 宮城県仙台市の老舗 「永勘染工場」 に注染を依頼した。

 カタログ会員のポイントで交換できるほか、 1枚1700円で購入でき、 うち100円が東北の女性の起業を応援する基金として運用される。

 伊藤さんは、 2011年9月に篠山市河原町で行われた東北支援のチャリティー展示会 「まちなみアート・アクション」 に合わせ、 方位磁石をあしらった湯飲みを製作。 用意した100個を完売し、 売上の全額を東北の県人会への寄付金に充てた。 「どんなに小さくても向こう20年間は支援する」 と決めていた伊藤さんは、 その後も湯飲みの製作を続けており、 日本財団の支援基金などへ寄付を続けている。

  「フェリシモ」 は、 昨年9月に河原町で行われた 「丹波篠山・まちなみアートフェスティバル」 に協賛し、 東北支援関連事業を展開した中で、 同社の社員が伊藤さんの湯のみを発見。 シンプルかつメッセージ性のあるデザインを一目で気に入り、 伊藤さんに協力を求めた。

 同社は携帯され、 人前で使われて話題になるようなものをと考え、 デザインを使用した日本手ぬぐいを考案した。

 伊藤さんは、 「支援にもなるし、 自分のつくったものがメジャーなものに使用されることが素直にうれしい」 と快諾。 デザインの使用を同社に無償で提供した。

 伊藤さんは、 「小さな支援の思いをビジュアル化したものなので、 手ぬぐいを通して、 それがじわっと広がっていくようになれば」 と笑顔。 同社は、 「伊藤さんの図案の意味をしっかりと伝えたい。 手ぬぐいの作り手も東北の人ということで、 よりメッセージが強まるのではないか」 と期待している。

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