丹波市氷上町絹山の団塊の世代が集まって、 同地区で果樹園の整備や里山作りに取り組んでいる 「楽笑会」 (豊島吉美会長) が6月8日、 同会が活動の拠点にしている山小屋に、 明治時代に購入して使われていた 「消防ポンプ」 を設置した。 同地区で昭和初期くらいまで使われていたもので、 荻野晋平副会長は 「ポンプに愛着を持つ人に見に来てもらい、 昔話に花を咲かせてもらえれば」 と話している。
ポンプは同地区公民館の格納庫に置かれ、 2005年に公民館が新築されてからも保管してきたが、 数年前から 「ポンプを処分してはどうか」 との声が総会であがり始めていた。 ポンプに愛着を持ち、 保存を願う人もあったため、 楽笑会がポンプを引き取り、 展示する方法などを検討してきた。
この日、 メンバーがポンプを山小屋まで移動させ、 展示用に空けたスペースに運び入れた。
「幸世 第一部」 と書かれたポンプは、 約80センチ×約60センチの真鍮製の水槽の左右に大きなハンドルが付いており、 ハンドルを交互に上下させることで、 水源に浸した 「吸管」 と呼ばれるホースから水をポンプ内に入れることができる。 放水は吸管の反対側に付いているホースから行うが、 現在は老朽化で使うことはできない。 ハンドルを上下させる様子から、 親しみを込めて 「ガッチャンポンプ」 と呼ばれている。
1955年ごろ、 同地区で大火があったとき、 消防団が少しでも消火の応援にとガッチャンポンプを引っ張り出してきたり、 70年ごろの同町北地区の運動会では、 歴史あるポンプを見てもらおうと、 絹山地区有志が余興の一部としてポンプを披露するなど、 引退してからも親しまれてきた。
荻野副会長は 「先輩の思い入れのあるポンプが設置できてよかった。 小屋で食事でもしながら見てほしい」 と話している。