JICA専門家 前川芳秀さん

2013.06.20
たんばのひと

アフリカで感染症研究

(まえかわ よしひで)東京都在住

 1975年 (昭和50) 丹波市氷上町生まれ。 氷上中、 舞鶴工業高等専門学校土木工学科卒。 長崎大学工学部社会開発工学科に編入。 卒業後に同大学院修士課程を修了。 同大学院博士課程で、 医学博士号取得。

 JICA (ジャイカ、 国際協力機構) の専門家として、 アフリカ南東部のマラウイで、 ウイルスを媒介する蚊の生息環境や蚊媒介性疾患を調査。 1年半年ぶりに帰国し、 東京の国立感染症研究所で、 国内の蚊の分布や感染症を媒介する蚊の研究に経験を活かす。

 大学院で、 人工衛星で、 植生や環境変化を調べるリモートセンシングという研究をしていたが、 熱帯医学研究所の教授から 「蚊の研究に応用できないか」 と誘われた。 フィールドで蚊の採集方法を必死に覚えた。 いったんは、 建設会社に就職したが、 フィールドワークの面白さが忘れられず、 再び蚊の世界へ。

 マラウイでは、 マラウイ大学に実験室を設置。 マラウイ湖沿岸や川、 畑、 森に囲まれた村、 都市部など30カ所の調査地点で、 成虫を捕獲し、 調査。 移動距離は2万に達した。 「どんな種類の蚊がどの地域に多いかなど、 感染症の 『運び屋』 となる蚊の種類の分布を調べた。 自分の目を通して、 結果を確認できるのが面白かった」。 調査の結果、 8種類の疾患を9種類の蚊が媒介している可能性が高いことを突き止めた。

 ウイルス検出実験で、 マラリアを媒介する蚊からオニョンニョンウイルスと思われる陽性反応が見られ、 現在、 確認作業中。 確定されれば、 マラリアと診断されていた熱性疾患のなかに、 マラリア以外の疾患がまざっていたのがほぼ確定的に。「研究がマラリアを含む蚊媒介性疾患の適切な検査や治療に役立てば」。

 蚊の世界に飛び込んではや、 13年目。 インドネシア、 ケニア、 タイやスリランカなどでも研究し、 採集した蚊は12万匹を超える。

 息抜きは、 古里に帰って、 子ども時代に遊んだいそ部神社や水分れ周辺の散歩。 「心が休まりますね」 と笑顔。

 

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