過日、うろこ雲を見た。魚のうろこのように点々と広がるこの雲は、鰯(いわし)雲とも言われる。イワシと言えば、その干物、メザシで名をあげた元経団連会長の土光敏夫氏を思い出す。▼80歳を過ぎても行革に執念を燃やしていた昭和50年代後半のころ、土光夫婦の夕食風景がテレビで放映された。メニューはメザシに菜っ葉、味噌汁、玄米飯。その質素な食生活が国民の共感を得て、「メザシの土光」の異名をとった。このメザシ、実は1匹400円もする高価なものだったが、イワシは大衆魚とされるだけに、土光氏のイメージを高めるのに効果的に働いた。▼うろこ雲は、鯖(さば)雲とも言われる。このサバにも、栄養以外の効果があることが明らかになった。テレビ番組がサバ缶にはやせる効果があることを伝えたのだ。先ごろ行ったスーパーでは、「サバ缶は入荷不足」との張り紙があった。▼さばを読む、という。これは、魚市場で、サバやイワシのような雑魚を数えるのは面倒くさく、適当に数えたことが語源という。▼手抜きだが、よく言えば、おおらか。体重計の数字にもおおらかであっていいと思うが、それは女心を知らない野暮天のざれ言だろう。サバ缶には失礼だが、鰯の頭も信心から。効果がありますように。私も今朝、サバ缶を食べました。(Y)