楽天の優勝

2013.10.03
丹波春秋

 楽天イーグルスの初優勝を、東北のファンと共に喜びたい。9年前、近鉄バファローズがオリックスに吸収合併された際、「バファローズ」の名はオリックスに移ったが、長年の近鉄ファンだった筆者にとっては、近鉄はむしろ楽天に生まれ変わった気持ちがした。▼オリックスに入れてもらえなかった近鉄の落ちこぼれ組の多くが楽天に拾われたからだ。そんな戦力ゆえ、スタート時は「0対26」の歴史的大敗を喫するなど惨憺たるものだったが、それでも多くの旧近鉄ファンの心が楽天に集まったと思う。▼以後もずっと下位に低迷していた弱小球団に、かすかな希望を持てるようになったのは07年、田中がドラフトの決定にすんなり従って入団してきてからだ。彼が決して腐りもせず、かくたる大投手にまですくすくと成長したのは、入団当時の野村、また星野現監督ら首脳陣の手腕によるものに違いない。▼田中もさることながら、今シーズンは、他球団でくすぶっていた選手や、無名の新人らが好機に活躍する場面が再三見られた。名を成した選手ばかり引き抜くチームが強いのは当たり前。だからこそ、楽天の優勝が輝きを放つ。▼星野監督は日本シリーズには弱いと言われるが、今度こそ、さらに汚名を挽回し、近鉄が果たせなかった「日本一」の夢を代わりに実現してほしい。(E)

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