名護市長選挙

2014.01.23
丹波春秋

 米軍基地移設問題を争点にした名護市長選挙で、勝った反対派の稲嶺現市長が「市民の財産や安全を守る責任がある」と主張したのは当然だ。だが、落選した推進派、末松候補に投票した人の声(日経20日)にも引き込まれた。▼「前回は稲嶺氏に投票したが、どんなに反対しても基地は辺野古に来るのだろう。そうであれば、しっかり交付金を受け取って活用するしかない=48歳女性」「基地はない方がいいが、名護の経済は疲弊している。老いた両親と子供を抱え、今後の生活が不安。平和を守る前に生活を守りたい=38歳男性」。▼鳩山元首相が何の算段もなく「県外移転」を口にしたのが、問題をこじらせている近因の一つだが、現自民党政権にも問題はある。応援に駆け付けた幹事長が500億円の振興基金を唱えたのが、「金で買収する気か」と住民の誇りを傷つけ、自民党候補に傾きかけていた有権者さえ離れさせたとの報道もある。▼このこと自体だけでなく、歴代政権は前の戦争で本土とは比較にならないほど痛めつけられた沖縄の人々の気持ちについて思いが及ばないところがある。それは政権だけでなく、本土の我々全体に言えることだ。▼国の安全保障と、抜き差しならない基地問題。極めて難しい問題に対して、少なくとも全国民が無関心であってはならない。(E)

 

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