災害に強い町に

2014.01.15
丹波春秋

 神戸の大震災被災地で活動したボランティアや建築家らが主催する「i(アイ)ウォーク」に参加。元大学教授の小森星児さん(篠山在住)の呼びかけで毎年この時期に開かれる。▼JR鷹取駅近くの大国公園から新長田駅周辺の再開発地区を経て区役所そばの御蔵通(みくらどおり)までを、今もFM局が発信する教会や、商店街を元気付けようと建った巨大な鉄人28号像などに立ち寄りながら歩いた。▼一帯が焼け野原だった鷹取駅周辺も、ケミカルシューズの中小工場群が全滅した新長田駅北側も、広い道路、整然とした住宅街に変わっている。様々な利害が絡み合う区画整理などの事業が本当によく進んだものと思う。ただ、新しい住宅付き店舗ビルが林立する新長田駅南では、シャッターを閉じた店も目立った。▼終点の御蔵で地元の婦人たちからしし汁をふるまって頂いた。土地区画整理やNPOの設立に関わってきた田中保三さんは「確かに町はきれいになったが、生活の匂いがしない」と嘆く。以前の住民の半数以上が他所に転出したという。▼鷹取商店街で被災後、55歳で一念発起しプロゴルファーになった古市忠夫さんは、区画整理で出来た公園で、「地下にある100トンの水槽からポンプで放水する訓練を住民たちで毎月している。災害に強い町を作ることこそ、亡くなった人たちへの供養」と話した。(E)

 

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