篠山市住吉台で住民有志が開いている「学び塾」の今年度の修了式が先ごろ行われた。地元の小学校2、3年生を対象に毎週金曜日、元小学校長ら11人の高齢者や主婦らが算数と国語を教えている。ユニークなのは、しつけにも力を入れている点だ。▼元気よくあいさつする。「はい」と返事する。勉強中は背筋を伸ばす。これらのほかに、履物をそろえるという指導もある。禅語にある「看脚下(かんきゃっか)」を実践しているわけだ。▼「照顧(しょうこ)脚下」もその同意語で、禅寺などの玄関で見かけることがあるこれらの言葉は、実生活に照らして「履物はそろえてぬげ」と解釈されている。ただ本来は、自分の足元をしっかり見つめ直せ、という意味らしい。▼玄関も禅語。「玄妙な道」に入るための「関所」の意味から、玄関となったらしい。玄関というのは本来、それほどに厳粛でかしこまった場所だった。しかし今は、単なる出入口すらも玄関と呼ばれている。▼単なる出入口に過ぎないと思えば、ついつい気がゆるみ、履物のぬぎ方がおろそかになりがち。しかし、それでは心を正すことにはならないだろう。玄関では履物をそろえても、出入り口に過ぎないと思っている我が家の勝手口ではいいかげんな当方。「学び塾」の小学生を見習わないといけないようだ。(Y)