曼画堂経営・漫画家 野々口 悟さん

2014.05.22
たんばのひと

一コマで笑い生む

(ののぐち さとる)京都市右京区在住

 1956年 (昭和31) 篠山市野々垣生まれ。 篠山鳳鳴高校、 龍谷大経済学部卒。

 京都市でこだわりの文具店 「曼画堂」 を営むかたわら好きな漫画を描く。 最近、 篠山の畳店で文具の販売と自作の漫画を展示。 高校同級生の陶芸家、 北村圭泉さんの書も飾った。

 大学を卒業後、 洋画の材料などを扱う画材専門店の画箋堂に入社。 32年間勤務した。 営業で頑張ったが、 少子化の影響などで、 学校関係の需要が減少し、 仕事も減った。 病気を転機に退職を決意。 3年前に仕事の経験を生かし、 文具店を開いた。

 絵が好きで、 高校入学後美術部に入部したものの、 2年生の時、 以前から興味があり、 創部されたばかりのサッカー部へ。 大学でコミック研究会に入部してから本格的に漫画を描くようになった。 所属したのは森龍吉ゼミ。 森教授は元新聞記者。 経済学部だが、 研究テーマは何でも良いという名物ゼミ。 「卒論は漫画史。 鳥獣戯画から江戸時代の北斎漫画、 劇画、 貸本までを取り上げた」 と言い、 趣味が研究テーマにもなった。

 大学時代から、 一コマ漫画を掲載する 「ぼむ」 という同人誌にかかわる。 京都精華大学、 立命館大学などで教べんをとるプロの漫画家と交流。 今も柳たかをさん、 団士郎さん、 篠原ユキオさんといった漫画家のほか、 落語家の桂南光さんも名を連ねている。

 仕事のかたわら懸賞漫画にも応募。 読売国際漫画大賞で入賞経験もある。 描く漫画は、 言葉を入れないで、 表現するノンキャプション。「政治とか社会風刺といった大げさなものではなく、 人間を見つめる漫画を描いていきたい。 くすっと笑えるような作品を」 という。

 本業の文具店は、ミュージアムショップなどにフレームやノートなどを納入。 「自分が使いやすい品物を仕入れる。 民芸にも興味がある」 と話し、 自身の作品も展示している。 好きな漫画を描きながら、 ゆったりとした時間や空間を大切にする日々。

 

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