土曜の午後、篠山に向かう電車内でのこと。谷川駅で乗り込もうとした老夫婦がドアを開けられないで立ち往生しているので、内側から開けて上げた。老夫婦は礼を言いながら、筆者の通路向こうのボックス席に座る。▼2人の真向かいには男子高校生2人がイヤホーンで音楽を聴いている様子だったが、話好きそうな奥さんは構わずに「あんたら、どこまで行ってん?」「何年生や?」などと話しかける。高校生は初め面倒そうだったが、菓子まで勧められて観念したのか、応じ始めた。▼「孫娘がジャニーズの話ばっかししとるんや」「僕もめっちゃ好きです」といった調子で、筆者の知らない名前が飛び交う。そのうち、終始寡黙だった主人の携帯電話が鳴って、大きな声で話し始めようとした。すると高校生が「車内で携帯は駄目ですよ」と遮る。「そうけ?ごめんね。電話を受けるんはええと思とったんやけど」▼こちら側で聞くともなく聞いていた筆者も思わず、「やあ、高校生がお年寄りをたしなめているのは初めて見たよ。偉い!」と声をかけてしまった。▼数日後、今度は市内で車を運転中、横断歩道を渡れずにまごまごしている小学生に「早く渡りなさい」と手で促すと、渡り終えてからさっと帽子をとってぺこりとお辞儀をした。近頃の子供たち、なかなかやるではないか。(E)