「テルマエ・ロマエ」は人気漫画の映画化第2弾。ローマ時代の浴場技師がタイムスリップして現代日本と往復し、日本の発達した温泉文化を取り入れてローマの皇帝、貴族ほか市民たちの目を見張らせるというストーリー。▼荒唐無稽もいいところなのに、見ることなすこと初体験ばかりの主人公ルシウスを、阿部寛が実に真面目くさった表情で演じるのが、おかしくてたまらない。ばかばかしさを超越し、見終わる時は拍手をしてしまった。▼ルシウスから平たい顔族と呼ばれる日本人たちの顔が、これまたすこぶる良い。中でも炭焼きじいさんを演じた「いか八朗」は、そこらでいっぱい見かける顔。なのに、桶風呂で目をますます細めて「ヘイヘイホー」とうなる表情に、涙が出そうになった。▼かつて知人宅にシンガポールの女子高校生がホームステイした時、温泉に連れて行ったら、脱衣場でもじもじするばかりでなかなか浴槽まで来なかったのに、一旦入るとすっかり気に入って、以後は「温泉に行きたい」とせがんでばかりいたとか。▼確かに、工夫をこらし粋を集めた日本の風呂文化は、世界に類を見ないようだ。ローマ人の末裔イタリア人でも、さほど風呂好きではないそうだ。安倍さんが中国の習主席を招く時は、寿司屋もいいが、一緒に湯につかればどうか。(E)