氷上郷土史研究会会員、山内順子さんの「こまいぬ」についての研究展示会(丹波市氷上住民センターで開催中)が、なかなか興味深い。どこにでもいて何気なく見ていたのが、色々と教えられた。▼歴史は平安時代に遡り、清少納言の「枕草子」に3回出て来るが、いずれも神社の参道に置かれているのではなく、宮中の室内で高貴な女性を守ったり、高麗(こま)から伝来し今の神楽に名残をとどめる舞の様子が描かれているという。青垣町の高座神社にも、本殿に「御殿こまいぬ」として鎮座しているとか。▼厳密には一対の右側が「獅子」、左側が「狛犬」だそうだが、王権の象徴たる獅子、ライオンは遠くメソポタミアに起源を発し、西はトルコを経て英国王室の城にまで、一方東はインド、中国を経て日本の神社まで伝わったと聞くと、文明の壮大なロマンを感じさせられる。▼今回は山内さんが市内の式内社を中心に20社調べたうち、9社のこまいぬの写真が展示されているが、その中だけでも、子犬連れのもの、しっぽをいきり立たせ飛びかかろうとしているものなど、様々な個性を持っている。▼神戸の出身で、柏原に2年前に引っ越したばかりの山内さんが、丹波の地域の文化財にこれほどまで目を向けて下さっていることが嬉しい。10月からの後半の展示も楽しみだ。(E)